今帰仁城跡の西側に琉球開闢七御嶽のクバの御嶽があります。
クバの御嶽は山自体が御嶽となっていて、中腹にはプトゥキヌイッピャと呼ばれる洞窟があります。
足場の悪い道のりを20分ほど歩きます。
洞窟には天孫氏の三男、次女が産まれたという伝説があり、子宝に恵まれる拝所として有名になっています。
年に2回、洞窟でノロの祭祀が執り行われています。
子宝祈願の際、枝珊瑚を持っていき祈願します。
枝珊瑚は珊瑚が枝分かれしていることから、子孫繁栄を意味しています。
祖母の代からずっと枝珊瑚を持っていき祈願していますが、枝珊瑚で祈願するというのは代々ノロから受け継がれています。
枝珊瑚の枝がいくつも分かれている事から子孫繁栄を意味することを「クワァのヒルガイ」と表現しています。
子供のことを方言で「クワァ」
広がることを方言で「ヒルガイ」と言います。
枝珊瑚の枝がいくつも広がっている様に、子孫が広がる事を願っています。
祭祀のひとつひとつに深い意味が込められているのです。
五穀豊穣、航海安全、海神祭、健康祈願、子孫繁栄など。
昔の人々の願いは生きていくための願いでした。
その願いに欲などなく、生きていく上で必要最低限の願いでした。
琉球の祭祀は月に二、三回あります。
ひとつひとつの祭祀が琉球から受け継がれてきた、生きていくために必要な祈願です。
時代は変わってもノロの祈りは変わる事なく、今の世を人々が安心して生きていける様に祈りを捧げています。
全て満たされている今、神仏様に何を願う(祈願)事があるのか。
昔の人々の願いを思うと、考えさせられます。