ノロは王府主体の祭祀行事を司る聖職者です。
ノロと聞くと国や民のために祈りを捧げていた女性をイメージすると思いますが、琉球國時代は祭祀以外にも国のために動いた女性でした。
ノロが国のために戦に参加していたと知ったときは驚きました。
首里王府が八重山討伐に動き出した「オヤケ・アカハチの乱」です。
久米島の最高神女「君南風」が首里王府の守り神として八重山討伐に参加しました。
「八重山の神がなびけば人間は自然と降参するから君南風を連れて行け」と神のお告げがあり、参加する事となりました。
久米島と八重山の神様は姉妹なので君南風が従軍したら八重山の神様は従うだろうとの思いがありました。
迎え討つ八重山軍もノロが陣頭に立ち、首里王府軍も君南風が部下の神女を率いて参戦しました。
結果的に八重山の神々様が先に君南風と和睦したため、八重山軍は士気を失い降参しました。
琉球では女性の祈願によって戦を勝利に導く風習があったと言われています。
「女は戦の先駆け」という言葉が生まれるほど、古琉球時代の戦において神女の霊力は実際の戦闘力として考えられその影響力は無視出来ないものだったそうです。
ノロが戦に重要な役割を果たしていた時代でした。
勝利に導いた君南風はこの武勲を讃えられ首里王府より「金のかんざし」や「ちよのまくび玉」等を贈られました。
今から520年前のお話です。
当時のノロは若い女性であったと思います。
女性が戦の先頭に立つなんて、今なら考えられません。
生涯、国のために祈りを捧げる役目だけでも重責なのに、戦にも参加しなければいけなかったなんて。
神女はどれほど大変な役目を担っていたのでしょうか。
琉球時代のノロの事を知るたび、同じ女性として心が痛みます。
代々ノロのお陰で今でも「神の島、琉球」であり続けられています。
ノロは琉球になくてはならない存在であったのは確かな事。
それは今も変わりません。