ノロとしての使命

ノロの役目を3年ごとに交代しながら御嶽を守っている島があると聞きました。

沖縄の離島なのですが今年が3年目だったそうで新しいノロがくじ引きで決まり、前ノロに教えてもらいながら一日中お線香を絶やさず祈り祭祀を務めていたそうです。

 

この話を聞いた時、胸が痛くなんとも言えない気持ちになりました。

きっと姉妹でこの先どうしようかと悩んでいた、あの時の思いに重なったのかもしれません。

 

 

母が70代後半になった時、この先ノロ殿内はどうなるのだろうと心のどこかで気になっていましたが、見ないふり気づかないふりをしていました。

このままではノロ殿内が失くなる時は来る。

分かってはいましたが嫁いだ私達にはどうする事も出来ないと、半ば諦めていました。

 

 

門中拝みの時期には沢山の参拝客が訪れ、日々個人での参拝客も後を絶たず。

母は変わらずノロとして数々の祭祀を執り行っている。

そんな現状を見ていくうちノロ殿内が失くなったら参拝客はどうなるのだろうと不安が重くのしかかってきました。

祈りの場が心の拠り所である事が分かっていたからです。

 

 

ノロ制度は廃止になりノロを受け継ぐ必要はありませんでしたが、それでも祖母は生涯ノロを務め、母も今でもノロとして祭祀を務めています。

祖母、母が祈る姿を見て育ち、ご先祖様が守り続けてきた祈りの場です。

失くしてはいけない。

そんな想いが強くなり姉妹で存続させる為に動き出しました。

 

 

ノロ殿内に生まれ幼い頃からノロの祈りが身近だった私達でさえ、ここに来るまで悩み苦しみました。

ある島の様にこの地に生まれたというだけでノロを受け継ぐ。しかもクジで選ばれるのです。

3年もの間ノロとして祭祀を務めなければいけない。選ばれた人はどんな想いなんだろうと思うと胸が痛くなりました。

 

 

宮古の司が伝えてくれた言葉

「拝みに行くのが大変な時も嫌だなと思う時もある。それは当たり前のこと。でも神様から徳と健康は貰えるから頑張りなさい」と。

司を務め上げた人だから言える言葉です。

綺麗事だけでノロを受け継ぐ事は出来ません。

 

 

 

クジで選んでいるのは神様だと思います。

神様がこの人に託したい。そんな人が選ばれるのでしょうね。

だからこそ、使命だと受け入れノロとして務め上げることが出来るのだと思います。

 

祖母も母も神様に託されたのだろうと思っています。