最近、何故か急におじぃの事を思い出しました。
残念ながらおじぃの記憶はほとんどありませんが、家族から聞かされる話の中でおじぃを想像しています。
33回忌の法要も終わっているので、今はノロ殿内を守る神様になっています。
沖縄では33回忌を終えるとその家を守る神様になると言われています。
おじぃは人の為ばかりに生きた神様の様な人だったそう。
墨で文字を書いて身体中のデキモノを治していた話は、おばぁや叔母からよく聞かされていました。
離島からもおじぃを訪ねてくるほどだったそう。
ネットもない時代に離島にも噂が流れるほど、おじぃの不思議な力は本物だったのです。
おばぁからよく聞かされていた話に、沖縄戦の話もありました。
沖縄戦当時、長男である父は小学校高学年で、その下に幼い弟がいました。
村の人達と一緒に今帰仁城址の裏の山に逃げ、防空壕に隠れていた時のこと。
逃げる途中崖に落ち木に引っかかってしまった子供を助けようとその子の父親が崖を降りたが、二人とも崖を登ることが出来ず。
その話を聞いたおじぃはすぐに助けに向かったそうです。
落ちた子供は父よりひとつ年下の、当時小学生。
米軍が近くにいる中おじぃは危険を顧みず、村の人達と協力して子供と父親を崖から救い出しました。
自分の子供と歳の変わらない子供を放ってはおけなかったのでしょう。
おじぃのお陰で父親と子供は助かったそうです。
助かった親子は同じ集落に住んでいて、その当時小学生だった子供は今では孫にも恵まれています。
正月やお盆にはノロ殿内を訪ね「おじぃのお陰で今の自分がいる、おじぃは命の恩人だと」おじぃのお仏壇に感謝を伝えているそうです。
おじぃは子供の命を救っただけでなく、その後生まれてくる子供や孫の命へと繋いでくれたのですね。
本当に神様の様な人だったのです。
助かった命のお陰で、新たな命が生まれました。
ひとりひとりの命がまた新たな命に繋がっていくのだと思うと、人の命の重さを改めて感じました。
目の前の人を大事にすること。ですね。
ノロ殿内の白龍神様のイラストを初めて見た時「おじぃに似ている」と思いました。
今でもおじぃはノロ殿内でみんなを見守っているのです。