今のノロ殿内があるのはある方のお陰でもあるのだと、代々ノロさんや神々様は伝えたかったのでしょうか。
昨夜、夢の中である方が出てきました。
夢で思い出させてくれたのは、名前も顔も知らない祖父の前妻です。
まつおばぁは後妻だったと聞いていましたが前妻の事は何も聞かされた事はなく何故、夢で「こんな人がいたんだよ」と思い出させたのか不思議でした。
朝になり母に電話して前妻の事を聞きました。
祖父と9年共に暮らしていたそうです。
当時、ノロ殿内と言えば県内では誰もが知る有名な拝所でした。
母が嫁いで来た時も「ノロ殿内の長男が結婚するよ」と村中でお祝いしたくらい喜ばれていたそうです。
祖父の結婚は村人にとって、どれほどの喜びだったでしょうか。
長男が結婚したという事は、ノロ殿内に跡継ぎが出来るということ。
ノロ殿内の存続に繋がるという事です。
地元にとってノロ殿内はなくてはならない祈りの場。
お嫁さんが来たという喜びはとても大きかったそうです。
その重責を担いお嫁に来たおばぁちゃん。
9年経っても子宝に恵まれず、とても辛かったと思います。
祖父はとても心の広い優しい人だったので、奥さんの気持ちを察していたのでしょう。
自分の弟から養子を貰いノロ殿内の跡継ぎにしようと考えていたそうです。
おばぁちゃんは祖父の気持ちを知っていましたがそれでは申し訳ないと思ったのでしょう。祖父の元を離れる決心をしノロ殿内を出て行ったそうです。
その当時、ノロ制度はもうありません。
ノロを継ぐ必要もノロ殿内を存続させる必要もありませんでした。
それでも当時の人々にとってノロ殿内はなくてはならない場所。それを知っていたのでノロ殿内にとって跡継ぎはとても大きな問題でした。
おばぁちゃんはノロ殿内の将来を考え、自ら身を引きました。
その後、祖父とはひと回りほど年の離れたまつおばぁが、20歳そこそこで嫁いできたのです。
そして今に繋がっています。
おばぁちゃんもノロ殿内に人生を捧げた人だったのです。
優しい祖父の元を離れる決心をしたのはノロ殿内の為でした。
多くの人のいろんな人生の先に、今の自分が存在しています。
ご先祖様だけでなく多くの人の人生を受け継ぎ、今があるのですね。
昨日は旧暦1日。
ご先祖様や神々様はおばぁちゃんへ感謝の思いを伝えたく、夢で思い出させてくれたのだと思っています。
今ある命は全ておかげさまなのです。