昨夜は月がとても綺麗でした。
今日は旧暦5月15日です。
旧暦1日、15日。
ヒヌカンを持っている家庭はヒヌカンにウートートーします。
ヒヌカンはお水、お塩、お酒、お米、チャーギ。
そしてウコール(香炉)が基本です。
1日、15日は湯のみ、盃、小皿、花瓶を綺麗に洗います。
洗った後にお水、お酒、お米、お塩を入れ、チャーギを花瓶に生けます。
準備が整うと平ウコウ(沖縄のお線香)15本をウコールに立て、ウートートーします。
一般家庭のほとんどはヒヌカンとお仏壇です。
母はヒヌカンをはじめ、神棚、ノロのお仏壇、ご先祖様のお仏壇の4か所をウートートーします。ヒヌカンの1か所だけでも準備に手間がかかりますが、母は4カ所の準備をしなければいけません。
神棚やお仏壇は手が届かないので、椅子を持ってきて湯のみや花瓶を下ろしています。
お供えには淹れたてのお茶と、ウブクと言って炊きたてのご飯をお供えします。お茶、ウブクの数だけでも結構あります。
準備が整うと4カ所に感謝の祈りを捧げます。
準備からウートートーを終えるまで1時間以上の時間がかかっています。誰かいる時は一緒に手伝っているのですが、普段はひとりで全てをこなしています。
それを毎月2回です。
1日、15日、ヒヌカンの準備をしながら「母は準備出来たかな、ひとりで大変だろうな」
と、いつも母が頭に浮かんできます。
与えられたお役目だと愚痴ひとつこぼさず。
欠かすことなく祭祀を務めている母。
嫁いだ先がノロ殿内だったと言うだけで。
ノロをやらざるを得なかった母です。
それは祖母も同じです。
嫁いで60年余り、一度も投げ出すことなくノロを務め続けてこれたのは、与えられた役目だからと言うより感謝の想いからだと思います。
80を過ぎても祭祀を務められているのは、務められる環境が整っているから。
その環境は神々様が与えて下さったものだと感じているのでしょう。
普段は足が痛いと言っていますが、祭祀の際には今帰仁城址の長い階段を登る事が出来ます。祭祀の日に体調を崩した事もありません。
それは全て神々様のお陰だと知っているのです。
実家のカレンダーの旧暦1日、15日の日付は大きな丸で囲まれています。
毎月ある祭祀の全ての日程も頭の中に入っています。
実家のカレンダーを見る度、母のノロとしての覚悟が伝わってきます。
それは誰にも真似る事は出来ません。
感謝の思いは人を動かせる原動力に変わるのですね。