ノロ、カミンチュ、ユタ。
ウチナーンチュさえ、未だに違いを知らない人が多いです。
先日も相談にのって欲しいとノロ殿内に訪ねて来た人がいました。
判断(鑑定)はしていない事を伝えると残念そうにしていましたが、話をすると納得して帰られました。
皆さん、不安に苦しんでいてどうしていいのか分からないのです。
答えを出すのは自分しかいない事に気づくと楽になるのですが、自分を信じきれていないのでしょうね。
ノロとは琉球王国時代に任命された祈りを捧げる人。
管轄の御嶽や拝所で国や民の為に祭祀を執り行うのがお役目です。国からお給料を頂いていた、今で言う国家公務員です。
世襲制で跡を継いでいました。
ノロ制度が廃止になった今では、ほとんどのノロは途絶えてしまっています。
カミンチュとは琉球王国時代のノロをカミンチュと呼んでいました。
ノロ以外ではノロのお供をしていた「供のかね」がカミンチュです。
供のかねはノロの祭祀にお供をして一緒に祈りを捧げていた存在です。
祖母がノロを務めていた時代は数名の供のかねが祖母を迎えに来ていたのを思い出します。
残念ながら今では一人も残っていません。
供のかねも祭祀の際に神衣装を着てノロと共に祈願していました。昔は門中ごとにカミンチュを出して管轄の拝所でノロと共に祈願していたそうです。
ノロ、供のかねをカミンチュと言います。
カミンチュとは国、村の為に祈りを捧げていた人の事です。
ユタ、霊能者は生まれ持って霊力があり先祖や亡くなった方と話し、個人の相談にのっています。個人の拝み事にも同行したりと個人の為に動いています。
血筋での継承ではなく、生まれ持っての能力です。
ユタの家系には霊能力を持つ人が生まれることも多いようです。
琉球王国時代は霊力がある人をノロに任命していました。その名残りがあるのでしょうね。
ノロというと「判断できる人」と勘違いしてしまうのだと思います。
ノロ、カミンチュは祈りを捧げるのがお役目で、決まった祭祀を務めているだけです。
琉球の歴史を知ると違いが分かると思います。
判断して欲しいとノロ殿内を訪ねて来る人を見るたび、申し訳なく思います。
もっともっと伝えなければいけません。