公的祭祀を司るノロが誕生する前、琉球には集落の祭祀を司る女性がいました。
古琉球の時代です。
「おなり」と言われる姉妹が「えけり」と言われる兄弟を守る「おなり神信仰」です。
琉球では女性全般に特別な力が宿ると信じられ、その霊力で兄弟を守護していました。
男が航海や戦争に行くとき姉妹の毛髪や手拭いをお守りとして貰うという習俗がありました。
戦に向かう男性に毛髪や手拭いを手渡すシーンを何度か歴史ドラマで見たことがあります。
好きな男性の無事を祈り女性が身に付けている物をお守りとして手渡していました。
琉球のおなり神信仰も似ていますが少し違います。
好きな男性にお守りを手渡すのに対しておなり神信仰は、姉妹が兄弟に身につけている物を手渡しています。
無事を祈りお守りを手渡すのは同じですが、琉球の場合は姉妹が神様となりお守りを手渡していたのです。
姉妹を「おなり神」として神格化していたのですね。
聞得大君は王様の姉妹。
聞得大君も王様を守護するおなり神だったのです。
姉妹が兄弟を守護するおなり神は各家庭に存在していました。
いくつかの集落が出来ると集落の中心的な家の当主とその姉妹が集落の祭祀を行っていました。
おなり神と言われる姉妹を「根神(ニーガン)」と言い、集落の中心的な家の姉妹が根神として集落の祭祀を司っていました。
いくつかの集落が統一された後、公的性の守り神としてノロが誕生します。
根神、ノロ。
古琉球から祭祀を務める神女がいたという事は、琉球に祈りは欠かせないものだったのです。
琉球の始祖である二人の女性は最高神官と神官のはじまり。
沖縄が「神の島」「祈りの島」であり続けるわけは、古琉球から始まっていたのです。