琉球の祈り「遥拝」

昨日は旧暦5月29日。

「プトゥキヌイッピャ」での祭祀の日でした。

 

子宝に恵まれると言われる洞窟はクバの御嶽の中腹にあり、年に二回祭祀が執り行われます。

昨日は雨が降り洞窟での祭祀は危険との判断で神棚、ノロのお仏壇のある部屋よりクバの御嶽の洞窟に向かいタンカーをとり祭祀を執り行いました。

 

 

 

タンカーとは沖縄の方言で正面、真向かい。

御嶽や拝所の真向かいから祈る。

遠く離れた場所から神仏様に祈る、遥拝を意味しています。

 

 

 

琉球神道の根本概念は遥拝(おとほし)だと言われています。

村から離れた小島を神様の居る処として遥拝する。

多くの御嶽は天に対する遥拝所でした。

 

 

 

離れた場所から祈る事を「オトーシ」と言います。

遥拝の「オトホシ」を「オトーシ」と発音しています。

 

 

 

昔は交通の便も悪く御嶽や拝所に足を運べず、また離れた小島に行くには船が必要で気軽に参拝出来なかった為、離れた場所から遥拝していたのです。

今では交通の便も良くなり気軽に移動できる為、御嶽や拝所に足を運び参拝している方が多いです。

 

 

 

個人での参拝は天候が悪いと日を改める事も出来ますが、ノロの祭祀は一年を通して決まった日で執り行っている為、天候が悪くても日を改める事が出来ません。

その為、御嶽に行けない場合はノロ殿内より遥拝しています。

 

 

琉球時代は遥拝が根本概念であったということは、離れた場所からでも祈りは届くと先人達は知っていたのですね。

それぞれの今いる場所から感謝の祈りを届けていたのです。

 

 

真心の込められた祈りは遠く離れた場所からでも神仏様に届くと、琉球の祈りが教えてくれた気がします。