神女は琉球の歴史の中で欠かす事の出来ない存在でした。琉球の歴史書の多くに神女の事が語られています。
沖縄では「カミンチュ」との呼び名が有名ですが、沖縄で言う「カミンチュ」はノロの事ではなくユタだと思っている人がほとんどです。
ウチナーンチュでさえノロの存在を知らないのは、ノロのほとんどが途絶えてしまっているからです。
ノロは世襲制である上にノロ制度が廃止になった今、ノロを継承する人がいないのは仕方がありません。
ノロが途絶えていく一方で、ユタはいつの時代でも誕生しています。
ユタはユタになるべくして生まれた人がユタとして活動しています。それなので途絶える事がありません。
琉球時代にノロが祈りだけでなく国の為に命をかけていた事や、地域の人々の心の拠り所として民に寄り添っていた事から。
当時、なくてはならない存在であった事が分かります。
祭祀を執り行うだけでなく、政治にも民の生活にも深く関わっていたのです。
以前、「現代のノロやユタは力不足。祈っている時のオーラがない」と言われた事があります。
その人が言うには「自分が拝むと一度でさ迷う御霊を浄化でき、祈るとき光が出るのだそう。」
神女は三山統一以前から存在しており、琉球王国時代になると神女組織として体制が確立され琉球王国全土に240名余りのノロが任命されました。
ノロは公的司祭として琉球全土で祈りを捧げていました。
それから600年余り、ノロは途絶えても祈りが途絶えたことはありません。
今でも各地で祭祀は執り行われていますし各家庭でも1日、15日をはじめ屋敷拝みなど神仏様への感謝を忘れたことなどありません。
ノロだけでなくウチナーンチュにとって祈りは生活の一部なのです。
沖縄が祈りで満たされた島であることは言うまでもなく。
600年続いた祈りの力は計り知れません。
祈り人に力があるのではなく、祈りに力があるのです。
祈りに人生を捧げた神女の存在をこれからも伝え続けていきたいと思っています。
今日は旧暦5月4日「ユッカヌヒー」です。
一年の豊漁と航海安全を願う、海の神事行事の日です。
港町ではハーリーという祭りが行われます。
古き神事行事を今でも大切にしています。
それが神の島であるウチナーです。