先日、ノロについて話を聞かせてほしいと大学の教授と学生が訪ねてきました。
若い世代の子供達が琉球の歴史やノロについて興味を持ってくれるのは嬉しいです。
ウチナーンチュでもノロを知らない人が多く。
沖縄ではユタが有名なので、ノロとユタは同じだと思っている人がとても多いです。
「どういった修行をしてノロになるのですか」「修行をしてどのような力が身につくのですか」という質問がありました。
ユタになる為に修行をして霊力を高めるという話を聞いた事があります。
修行という言葉が出てくるというのは、ユタとノロを混同しているのですね。
ユタの判断を受けるために沖縄に訪れる人がいるほど、沖縄のユタは有名です。
未来のことが視える霊力があると信じられています。
ノロも霊力高いと言われていたので、ユタとノロを混同しているのかもしれません。
琉球では全ての女性に霊力があると信じられていました。
姉妹が兄弟を霊的に守護すると考え、姉妹の霊力を信仰していたのが「おなり神信仰」です。
初代聞得大君も国王の姉妹で、姉妹が国王を霊的に守護していました。
ノロが誕生するずっと前から各集落では、集落の宗家の姉妹が祭祀を行っていました。
琉球では古くから女性の霊力を信じていたのが分かります。
霊力がキーワードとなり、ノロとユタは同じ役目の人だと思われています。
実際にノロ殿内に判断を求める人が何人も訪ねて来ています。
ノロが途絶える一方でユタは次々と生まれています。
霊力を求める人がいる限りノロとユタはいつまで経っても混同され続けるのかもしれません。
修行をすることもなく、力があるわけでもなく。
代々世襲制で受け継がれ、一年を通して拝所や御嶽で祭祀を執り行っているのがノロです。
おなり神信仰の霊力や霊力高いと言われていたノロの霊力とは、人の未来を占うためのものではなく。
祈りを捧げ安心を与える。
人々の心を救うための霊力であったと思います。