名護市で「アブシバレー」の様子がニュースで取り上げられていました。
「アブシバレー」とは旧暦の吉日に行われる行事です。
方言でアブシとは田んぼのあぜ道、バレーとは払うです。
害虫駆逐の儀礼でノロを中心に行われていました。昔、害虫の害は脅威であり呪術をもって村落の外へ追い出す事が最上の手段と思われていました。
害虫を供物と共に舟型のものに乗せ、ノロの神役の手によって沖に流す儀式。
名護市では米所の地域の代表がアブシバレーの行事を行なっていました。
芭蕉の葉と茎で作った船にタニシを乗せ「虫が向こうで幸せに暮らせますように」との願いを込めて海に流し、五穀豊穣、無病息災を祈願していました。
400年続く儀式、古き良き行事を区民が引き継いでいって欲しいと話していました。
害虫駆除の方法はいくつもある現代とは違い、農作物を守る為には害虫を村から出す事が1番の方法だと思われていたのですね。
ノロによって五穀豊穣を願うアブシアレーは、農作物を守るために必要な儀式だったのです。
五穀豊穣、無病息災、航海安全など
受け継がれている祈りの全てが生きていくための祈願です。
現代の様に満たされている世ではなかった時代は、神に祈ることしか出来なかったのでしょう。
やるべき事を全てやり尽くした上で、天に委ねていたのですね。
虫が向こうで幸せになる事を願った上で、豊作を祈願する。
先人達の深い思いを感じました。
ノロ殿内では旧暦の14日に五穀豊穣、無病息災のタティウガンをノロ殿内の神棚にて行い
15日に今帰仁城址のフイ殿内にて、願いを解くフトゥチウガンを執り行いました。